崩壊剤の歴史とE.C.G-505®及びNS-300®の開発経緯
1950年代以前、生物学的利用能(bioavailability)の概念はあまり浸透しておらず、製剤が溶解せず体外に排出されることもありました。
しかし、1955年頃から欧米の製薬業界で生物学的利用能の概念が浸透し始め、これに伴い薬物の溶出時間の重要性が強まりました。
溶出時間を制御するには顆粒、錠剤の崩壊が重要となるため、崩壊剤の重要性が唱えられ、1960年代には世界中で崩壊剤の開発研究が行われました。
当社は設立当初からカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を販売しており、セルロース誘導体に造詣が深かったことから、日本で先駆けて崩壊剤の開発をスタートさせました。
1960年代には、当社が研究開発の中心となって、カルボキシメチルセルロース(CMC)に Ca を導入した"日本初"で"日本発"の崩壊剤を開発し、上市しました。
これが「E.C.G-505®」です。この崩壊剤はCa のキレート作用により、緩い架橋構造の特徴を持っています。
E.C.G-505®の開発に成功した後、酸型のCMCに着目した製品の開発に着手しましたが、当初酸型の CMC は水素結合や対イオンの特性から膨潤性に乏しく、崩壊剤として相応しくないと考えられていました。
しかし、その後の研究により酸型の CMC は非常に優秀な Wickingタイプの崩壊剤であることが判明し、「NS-300®」として上市しました。この崩壊剤は少ない水分でも濡れ現象により、錠剤内部に水分を浸透させ、その濡れ速度の速さから多くの口腔内崩壊錠にご利用いただいております。
E.C.G-505®(カルメロースカルシウム)は1966年に日本薬局方に収載されて以降、海外での使用実績が認められ、USP-NF、EP、近年ではChP にも収載されています。
NS-300®(カルメロース)は1986年に日本薬局方に収載されて以降、USP-NF、EP に収載されています。
また、海外での使用実績やお客様のニーズに応え、E.C.G-505®、NS-300®共に米国DMF、中国DMFに登録致しました。